ほこり日誌

エジプトは、漢字で「埃及」と書きます。

海外で日本酒を自家醸造するぞ奮闘記〜その②:気になるお味は??

さて、急に途上国勤務になったにもかかわらず、日本酒が飲みたくて仕方がないまつてと。飲酒欲がまさって発狂してしまう前に、自家醸造しようと思い立ったのでした……。

前回、米麹が完成し、ついに日本酒を仕込むことになりました。

▼前回の記事▼

注意・免責:日本国内で度数1%以上の酒類を製造することは、違法です(私は海外赴任中に醸造しました)。また、海外では自家醸造が合法の国が多いものの、法規制についてはご自身でご確認ください。あと、当然ですが、発酵商品なので、失敗して食中毒……とかも気をつけてくださいね。

今回必要なもの

さて、ここで、日本酒を仕込むのに必要なものをおさらいしておきます。

  • 米麹「こめにゃん」:前回の記事で作ったもの。「こめにゃん」と名前をつけて、二日二晩大切に育てた
  • 米(ジャポニカ米):今回もまた、生米が必要です。
  • おいしい水:どうやら、日本酒は、水で味が決まるらしい。まぁ、そもそも途上国で作ろうってんですから、どだい上等な水なんて手に入らないんですけどね。まあ、水道水だけは避けましょう。
  • ドライイースト:日本酒は、米麹菌と酵母菌で米を二重(同時)発酵させてつくる商品ですが、日本酒酵母は、入手困難。その時に代わりになるのが、ドライイースト。パン作るときのやつでOKです。
    ※アメリカでは、日本酒酵母が手に入るらしいです(Sake Yeastで検索)。また、酒粕から抽出する方法もあるらしいです。
  • 乳酸菌が生きてそうなプレーンのヨーグルト:ヨーグルトに含まれる乳酸菌が、腐造を防いでくれます。ヨーグルトをそのままぶっこめばOKだが、乳酸菌顆粒や、ヨーグルトの種菌ならより良いらしい。

必要な器具

  • 大きめの鍋複数
  • 完成品を入れる容器(炭酸入れても大丈夫なやつ)
  • 温度計
  • 混ぜるやつ
  • ざる
  • 【あれば便利】漏斗
  • 根気(一番重要)

作業の流れ

前回、米麹を作りましたが、ここまでくれば、あとは混ぜて、放置して、濾して完成。

  1. 再び米を超固めに炊く。
  2. 全部混ぜる。
  3. 一日一回かき混ぜながら見守る。
  4. 濾して、残りカスもめちゃくちゃ絞る。
  5. もう1日だけ待つ。
  6. 完成。

①再び米を超固めに炊く。

再びです。今回は分量を3合にするだけです。以下、前回記事からほぼコピペ。

目標は、「芯が残らない程度にギリギリまで水分量を減らしたご飯」。本当は、蒸した方が、炊きあがりのご飯に含まれる水分量を更に減らすことができ、より適したご飯になるのですが、水少なめ炊飯法でも十分。

今回は、米3合、水420ccでやりました。倍量にする分には問題ありませんが、これより減らす場合は注意が必要です。ロットが少なすぎると、もしかするとうまく発酵しない可能性があります

水の量を、通常の炊飯の60〜70%くらいにするだけで、あとは普通。炊飯前にしっかり研いで、しっかり浸水させて、炊きあがったらしっかり蒸らしましょう。私はいつも鍋で米を炊いており、火加減の調節に自信がないので、

水は米1合(180g)に対して「通常炊飯の目安:米の容積×1.2倍」の65%の水×3合分
=180×1.2×0.65×3≒420cc

で計算しました。炊飯器をお持ちの方なら、60%とか、さらにもっと少量でもいけると思います。ただし、減らしすぎると、うまく火が通らず芯が残ります。気をつけて。

②全部混ぜる

炊きあがったご飯に、1.5Lの水をぶち込みます。熱いご飯に米麹とかイーストとか入れると、菌が死滅するので、先に水を入れること

あとは、作った米麹300g(ほぐして入れよう!)、イースト少々(5〜8gくらい)、ヨーグルト1さじを、消毒済みのでっかい容器に入れて、完璧に混ざり切るまで混ぜまくります。

混ざったら、密閉されないようにふわっと蓋をしておきます。

全部混ぜた様子。

③一日一回かき混ぜながら見守る

20℃〜30℃くらいに保ち、一日一回かき混ぜながら様子を見守ります。20℃で7~10日、温度が高いと3~5日で完成らしい。様子を見ながら、発酵しきるのを待ちましょう。

ちなみに、当然今回も名前を付けることになり、例の友人が「みきそん」と命名してくれました。混ぜてるから「みきそん」……あまりに安易すぎて、友人の思考回路が心配になります。

④濾して、残りカスもめちゃくちゃ絞る

さて、今、この米のカスとかが浮いている状態が「どぶろく」です。これを濾します。

ザルの上に、清潔な布巾か不織布(私は、煮沸消毒しました)を敷き、全部濾します。容器に残ったカスも、すべて布巾に空けきってください。

で、コーヒーみたいに時間が経てば、液体は全部流れ落ちるかというと、残念ながらめちゃくちゃ時間をかけても、自重では完璧には落ちていきません。仕方がないので、布巾を閉じて絞ります

これ、めちゃくちゃ力入れても、人力では全然絞れないんですよね。酒蔵では、機械を使って絞るそう。ガッデム。がんばろう。
※酒蔵での製造では、「荒走」とか「中汲」とか「責め」とかなんとか、絞るフェーズにもこだわっています。が、今回は、別に大吟醸でもなければ、ただの簡易式の日本酒醸造なので、歩留まりは多いほうがいい。ということで、できる限り絞ります。

ちなみに、こうして布巾に残った謎のカスこそが、酒粕です。粕汁とか甘酒にして早めに使い切りましょう。残ったら冷凍もできるらしい。

使い道がありそうで限られてる酒粕。

⑤もう1日だけ待つ

絞りきった汁が、即ち日本酒なんですが、瓶とかに詰めたあと、もう半日だけ常温で寝かせ、瓶内発酵させます。発酵の作用で、炭酸とか出るので、密閉しても炭酸で爆発しない容器にしましょう。

半日経ったら、あとは冷蔵保管しましょう。

最初は日本酒っぽくないですが、段々と濁りがおりてきて、若干黄色がかった日本酒になります。

⑥完成

完成しましたね。手作りで、工場と比べ、消毒も完璧ではないと思いますので、早めに飲み切りましょう

完成品の様子。写真が下手すぎて、10年前にコンデジで撮った写真みたいです。

気になるお味

今回初めて作ったんですが、結論から言うと、いまいちですね。アルコール度数は十分なんですが、味は、感じでいうと、鬼殺しを更に水で割ったみたいな味。そもそも精米度合いも純米ですし、なんたってイースト菌ですしね。

ただ、温度管理とかをもっと見直せば、まだまだ改善の余地はありそうです。結構しんどかったので、今度作るのは、またあったかくなった時期になると思いますが、また新発見があれば、みなさんにご報告します。

今回参考にさせていただいた先人の方々

担当:まつてと